[伊予弁:最終回]主権者教育の充実、カギは「子どもの権利」の尊重

皆さんは「子どもの権利条約」をご存じだろうか。国連総会で1989年に採択された児童の権利に関する条約のことで、日本も署名し効力が生じている。文部科学省は「本条約の発効を契機として、さらに一層、児童生徒の基本的人権に十分配慮し、一人一人を大切にした教育が行われることが求められている」としている。

条約の第12条は、子どもの参加について書いている。子どもたちの主権者意識を育むためには、子どもたちを社会全体が主権者として認め、受け入れていく姿勢が大事だ。しかし、非政府組織(NGO)のセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが2019年に実施したアンケート結果によると、子どもの権利条約を聞いたことがない大人が4割以上いることが分かった。

文科省は新しい学習指導要領の中で「主体的・対話的で深い学び」や「社会に開かれた教育課程の実現」を求めている。しかし、取り組みは学校内だけでは不十分だ。子どもたちを社会に責任を持つ主権者として育てるためには、学校外とつながり、子どもの権利が保障される中で子どもたちの主体的な取り組みを支援していく体制が必要だ。

子ども権利が尊重され、社会全体で主権者教育が実行される場を、これからも広げていきたい。今回の連載を通して、主権者教育の現状とこれからについて、引き続き皆さんと一緒に考えていければ幸いである。 

(掲載日:2021年5月12日)